ヤマハMT-09は3気筒エンジンが生み出す独特のトルク感と軽量・コンパクトな車体で、国内外を問わず高い人気を誇るスポーツネイキッドです。
しかしその一方で、「速すぎて乗りにくい」「長距離で疲れる」「想像と違った」という声も一定数あります。
この記事では、MT-09で後悔しがちな具体的なポイントとその対策、そして2024年モデルでどこがどう改善されたかを、オーナーレビューと最新情報をもとに正直にお伝えします。
購入を迷っている方のお役に立てれば幸いです。
MT-09のモデル変遷:後悔の評判は「どの世代」の話?
MT-09の評判を調べるときに重要なのが、「それはどの世代のモデルの話か?」という点です。
ネット上に出回っている「乗りにくい」「ドンツキがひどい」といった評判の多くは、2014〜2016年の初期型(Gen1)、あるいは2017〜2020年の2代目(Gen2)についての感想である場合がほとんどです。
MT-09は世代を重ねるごとに大幅な進化を遂げており、主要な変化は以下のとおりです。
2021年のGen3ではフルモデルチェンジが行われ、6軸IMU(慣性計測装置)やYRC(ヤマハライドコントロール)が導入され、電子制御が劇的に強化されました。
2024年のGen4(現行型)ではさらにハンドルポジションを変更し、ハンドル切れ角を28度から32度に拡大。
シートを前後別体式に変更し足つき性を向上させ、5インチTFTメーターやクルーズコントロールを標準装備するなど、快適性・利便性が大きく向上しています。
価格は125万4,000円(2025年モデル)で、Y-AMT仕様(自動クラッチ)は136万4,000円です。
最新スペックは
- 排気量890cc・3気筒エンジン
- 最高出力120PS/10,000rpm
- 最大トルク93Nm/7,000rpm
- 車重193kg
- シート高825mm
- 燃料タンク14L
- 燃費(WMTC)21.1km/L
です。
中古購入を検討する際は世代による差が非常に大きいため、どの年式を選ぶかが「後悔するかどうか」を大きく左右します。
MT-09で後悔するポイントと対策
1. ドンツキ・スロットルの鋭さ(特に旧型)
MT-09で最も多く語られる不満がこれです。
「ドンツキ」とは、アクセルを閉じた状態からわずかに開けた瞬間に、意図よりも強くトルクが出てしまう現象のことです。
初期型〜Gen2ではこれが特に顕著で、街中の低速走行やすり抜け時に神経を使います。
Gen3以降は電子制御スロットルの採用と走行モードの充実(STD・A・Bモードなど)によってかなり改善されています。
それでも「Aモードは開け始めが敏感」と感じるオーナーはいるため、街乗り中心の方はSTDモードやBモードを使うと扱いやすさが大幅に変わります。
なお、Gen3の一部車両ではECUの不具合により発進時にストールする現象が報告されており、ヤマハからリコールが発表されています。
対象の方は販売店で無償書き換えを受けることで改善されます。
2. 低速・渋滞時の扱いにくさ
890cc・120PSのエンジンを搭載しながら車重193kgと軽量なMT-09は、パワーウエイトレシオが非常に高く、低速でのスロットル操作に繊細さが求められます。
信号の多い街中や渋滞時には、このじゃじゃ馬的な特性が扱いにくさとして出ることがあります。
対策としては走行モードをSTD〜Bに設定すること、タンクパッドを貼りニーグリップをしっかり効かせること、クラッチレバーの遊びを調整することが有効です。
また、そもそも「街乗りが多い方にはMT-07のほうが向いている」というのも正直なところです。
3. シート高825mmと足つき性
シート高825mmは数値上は高めですが、車体がスリムなため実際の足つきは数値ほど悪くないという意見が多数あります。
2024年モデルからシートを前後別体式にしてシート前部を絞り込んだことで、さらに足つき性が改善されました。
身長170cm台の方なら片足ベタ付きが可能という口コミも見られます。
気になる方は購入前に必ず試乗するか、またがってみることをおすすめします。
4. 長距離・ツーリングでの疲れ
MT-09は街乗りとワインディング向けに設計されており、長距離ツーリングを快適にこなすことを主目的とした設計ではありません。
ウインドスクリーンが非常に小さく風圧を受けやすいこと、シートクッションが薄め(体格差あり)、タンク14Lで実用航続距離が160〜210km程度と短めなことが、長距離では疲れやすい要因です。
対策は明確で、純正オプションのスクリーン装着(防風効果あり)、コンフォートシート(純正オプション)への交換、こまめな給油計画(250kmを目安)で大幅に改善できます。
2024年モデルからクルーズコントロールが標準装備となり、高速道路での疲労感はかなり軽減されました。
5. 燃費と航続距離の短さ
WMTCモード値は21.1km/Lですが、実際の街乗りメインでは15〜18km/L程度、高速巡航では23〜25km/L程度というオーナー報告が多いです。
タンク14Lなので、街乗り中心だと実質150〜170km程度で給油が必要になります。
長距離ツーリングでは250km程度を目安に給油計画を組むのが安心です。
燃費自体はスポーツネイキッドとしては標準的ですが、タンク容量の小ささを不満とするオーナーは一定数います。
6. 夏場のエンジン熱と高速域の振動
夏場は停車中や低速走行時にエンジンの排熱が股間・足元に感じられます。
これはエンジン位置の関係でどうしても避けられない部分で、渋滞の多い季節は体力を消耗しやすいです。
また、高速道路で110km/h以上の速度域で振動が増すという報告もあります。
アルミパフォーマンスダンパーの装着で軽減できるという情報もあります。
7. 旧型の安全装備・電子制御の不足
「ABSやトラクションコントロールが標準装備されていない」のは旧型の話です。
現行Gen4(2024年モデル)はABS・トラクションコントロール・スライドコントロール・ウィリーコントロール・クルーズコントロール・クイックシフターがすべて標準装備されています。
6軸IMU由来の高度な電子制御は、YZF-R1に匹敵するレベルです。
中古で旧型を購入する際は、装備の違いを確認してください。
「後悔した」と「最高だった」は紙一重:MT-09に向いている人・向いていない人
MT-09は「ストリートとワインディングでスポーティな走りを楽しみたい、ある程度の扱いにくさも含めて楽しめる」ライダーには非常に魅力的な選択肢です。
軽量な車体(193kg)と120PSのエンジンが生み出す一体感、クロスプレーン由来の独特のトルク感は他では味わえません。
価格.comのオーナーレビューには「ケチのつけようのないバイク」「20数年のバイク人生で一番乗り心地が良い」といった絶賛の声も多数あります。
一方、日常の足として快適性を最優先したい方、長距離ツーリングをメインに考えている方、低速での扱いやすさを重視する方には、MT-07やMT-09 Tracerシリーズなど別の選択肢のほうが合うかもしれません。
後悔しないためには「自分がどんな乗り方をするか」を購入前にしっかり整理することが最も重要です。
MT-09 SPはスタンダードとどう違う?
MT-09 SPはスタンダードとエンジン・フレームは共通ですが、フロントにDLCコーティングのKYB製倒立フォーク、リアにオーリンズ製モノショック、ブレーキにブレンボ製4ポットキャリパーを装備した上位モデルです。
「スタンダードの足回りに不満を感じて後からカスタムすることを考えれば、SPのほうが結果的にお得」という声もあります。
スポーツ走行を重視する方はSPの検討も価値があります。
中古で購入する際の年式別おすすめ
予算を抑えたい場合でも、Gen3(2021年〜)以降を選ぶことを強くおすすめします。
Gen3からは電子制御が大幅強化され、初期型でよく語られた「ドンツキ」が大きく改善されているからです。
Gen1・Gen2(2014〜2020年)は相場が60〜80万円台とこなれていますが、快適性や安全装備の面でGen3以降とは差があります。
Gen3の中古相場は80〜100万円台、Gen4(2024年モデル)は現行新車に近い価格帯です。
購入前に必ず試乗し、またECUリコールの有無を確認してください。
まとめ:MT-09で後悔するかどうかは「年式」と「用途のマッチング」で決まる
MT-09の「後悔する」という評判の多くは旧型モデルについての話であり、2024年現行モデル(Gen4)は電子制御・快適性・使い勝手の面でかつてとは別物と言っていいほど進化しています。
それでも根本的なキャラクター
——スポーティで刺激的で、街乗りよりもワインディングで本領を発揮する——
は変わっていません。
購入前に「自分の乗り方に合っているか」を試乗で確かめること、そして中古購入なら年式を慎重に選ぶことが、MT-09との良い付き合い方を見つける最善策です。


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